ある有名私立高校に通っていた受験生の思い出について、一人の室長が語ってくれました。「この子と二つ違いの兄は慶庶に通っています。彼は某有名予備校に通い、現役で合格したんです。ところがこの子はいつも成績は学年で三桁。家庭教師をつけてみたんですけど全然伸びなくて、結局その先生もおやめになったんです。せっかく私立に通わせているのに、浪人なんてさせられませんからね。たぶん予備校に通ってもついていけないと思うんです。兄も大学が忙しくて勉強を見てもらえないですし。頼るところはもう個別指導しかないんです」「最近はこちらが何を話しかけても返事もしないし・・・、まあ、この年ごろの男の子は仕方がないのかもしれませんけどね」「ところで、某個別指導塾さんは有名大学にも対応されているんですか?うちは早・慶・上智しか行かせる気はありませんから」入塾面談で機関銃のようにしゃべる、いかにもマダム風の母親に私は圧倒されて反論の言葉が出ませんでした。ドラマに出てくるような教育ママがまさか目の前に出現するとは思いもしなかったからです。その母親の横で高校2年生の彼は猫のように丸く小さくなっていました。彼の通っている高校は、都内でも有数の超進学校でした。私はそんな彼が不惘で仕方がありませんでした。「大丈夫だよ。絶対に良い先生を見つけてあげるからね。心配しないでいっしょにがんばろうね」彼は私大文系コースを選択していました。ところがレベルチェックをすると、中学英文法さえままならぬ状態でした。さっそく中学の英文法のテキストから復習をすることにしました。
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