外観においては新しいライフスタイルや、文化の創造という、店舗が本来持つメッセージ機能を考えた上で、時代の感覚にフィットさせる必要があろう。これまでの店舗設計において蓄積され、集積されたノウハウやセオリーを踏まえつつ、それを再構築して新しいイメージを創り上げる。単なるハコをつくり、サインを掲示するのではなく、店舗自体がメッセージであり、メディアであるという基本的な視点にたって、店の内外に向けて、すなわち従業員に対しては、働く意識の向上を促し、顧客に対しては新しいライフスタイルを提案する情報発信という、この双方向性こそが大事なのだが、ともすれば後者に偏りがちになる。店内の設計で言えば、提供する商品、サービス、ソフトに対応した高感度な什器・備品が必要だが、選ぶときには作業の効率性や耐久性にも十分配慮したい。耳障りのしない音響、場所を取らないエアコン、換気機能などももちろんである。われわれの業界で「照明を制するものはリフォームを制す」といわれるが、ことに店舗においては照明が決定的に重要である。店内をつねに1000ルクスに保つにはどうするか、光度可変型のダウンライトをどの位置に、何基つけるのか。このあたりにも、経験と幅広い知識はもちろん、その商売に対する理解がものを言う。くつろぎ、あたたかみ、やさしさ、清潔感などを生み出す照明は空間演出の魔術師といっていい。激しい市場変化に対応する、風化せずに文化として確固たる存在感を主張する店舗。店舗設計・デザインにおいてS・I(ストア・アイデンティティ)の確立は、ますます重要度を増している。