私が少し不満に思っていることは、今の学校の先生は忙しすぎて、こういう質問にじっくり答えるゆとりがないことです。さらにもう一つ、生徒たちが質問すると「こんなこともわからないのか」とおっしゃる先生が、案外多いことです。しかしこれは、先生の教え方が不足しているために、生徒は解答を見ても理解ができないからなのです。ですから生徒たちがわかるまで先生はかみくだいて説明しなければいけません。それがすなわち教えるということなのです。「こんなこともわからないのか」と言うのは、先生の暴言です。私も経験しましたが、教えるということは、本当に根気が必要で、ひたすら消耗する仕事です。先生は生徒たちにわからせるために、手を変え品を変えて、かゆいところへ手が届くように説明を繰り返さない限り、なかなか生徒は飲み込めないものなのです。先生はよく、「自分で考えろ」とおっしゃって生徒を放り出すことがありますが、これは違います。考えるのは試験のとき、もっといえば、自分で考えて行動するのは大人になってからで十分です。大人になればいやでも一人で考えて生きてゆかねばならないのですから。また、子供に「教えすぎる」ということはありません。たとえば泳げない子を海に放り込んで泳ぎを覚えさせる方法がありますが、これだってただ放り出しているのではなく、いつも指導する人がついていて溺れる前に救っているではありませんか。そういうことを繰り返して、初めて人は泳げるようになるのです。