日本文学でも芥川賞や直木賞をとった現代の若い作家たちの作品は、今の時代の感覚が表現されているから面白い。どんどん翻訳されて外国で読まれたいと思う。それから映画。たとえば伊丹十三さんがつくられた『タンポポ』とか『お葬式』がニューヨークで受けていた。今、私たちが面白いいと思うものは、向こうの人が見ても面白いと感じるに違いない。そこが重要なのである。日本人の日常性をもっとすっきり表現して外国に出したい。洗練された日本人の伝統的な感性を大切にしたいものだ。“顔”が見えないということは、何も外国人から見てということばかりではなく、日本人自身にもそれが欠けているのがわかる。日本人のアイデンティティを確立していくうえで、魅力的な日本人像とは、「時代とともに生きている、爽やかでファッショナブルな日本人」ということになってくる。外国にない私たちのもの……違いを磨き上げて、次の時代を生きていくメカニズムを考えるのが緊急な課題なのではないだろうか。