過去のアルバムをたくさん持っていることが、プロの音楽評論家の優位性のひとつにもなっていたわけです。しかし、こうした大量収集の手間はiTunesによって葬り去られました。たとえばブルーノートであれば、古いアルバムが九〇〇円ぐらいで売られていて、その気になってカネさえかければわずかな時間で大半の楽曲を収集することができます。いや、いまや収集することさえ無意味になりつつあるのかもしれません。iTunesストアは、いままでのような「楽曲ごとの代金」ではない月額課金システム、つまり月にいくらかの金額を払えば楽曲を聴き放題というしくみを検討中と噂されていますし、実際そうしたサービスはナイフスターやラプソディなどすでにいくつか登場してきています。こういう月額課金の音楽サービスでは、収集して自分のパソコンに楽曲を貯め込んでもあまり意味はありません。好きな時に自分の好きな楽曲をインターネットの向こう側から引っ張り出してきて聴く、という究極のアンビエント空間が用意されているからです。