外貨預金、インパクト・ローンはリスク回避の伝統的な手法

2011-07-07

個人向けの外国為替取引が盛んになっています。それは、外貨を取引するための金融商品が開発されて、個人投資家の利便性が向上したからです。では、昔はどうだったのでしょうか。為替レートは、常に変動しています。ですから、そのリスクを回避する手段(テクニック)は、実は昔からあったのです。輸入企業は、「ドル高」になると困ります取引先に代金をドルで支払う場合には、マーケット(外国為替市場)からドルを買って支払いに充てます。ドルが高くなってしまうと、その購入代金である円をたくさん支払わないと、ドルを買えなくなってしまいます。ですから、ドルが安いときにドルを買って、銀行に外貨のまま預金しておきます。つまり、外貨預金です。決済日(ドルを取引先に支払う目)に満期が来るように、その外貨預金を設定しておけば、普通預金ではなく、定期預金ですから、若干、金利も高くなります。満期日に、このドルを、そのまま支払いに充てればよいのです。これは、ドル上昇リスクに対するリスク回避手段です。自分の保有している円資金をドルに換えることを「ドル転」と言いますが、今、手元には円資金がないかもしれません。そういった場合は、円資金を借りてきます。つまり、円ローンを組んで借金をするのです。こうなると、先ほどお話しした、円キャリー・トレードとまったく同じことになります。輸出企業は、「ドル安」になると困ります。製品を輸出しても、その代金が入ってくるのは、先の日付になります。たとえば、代金を受け取れるのは、半年後としましょう。代金の受け取りを現在の為替レートで予定している場合、半年後に為替変動がなければ、予定通りの金額の日本円を受け取れます。しかし、為替変動がない、などということはあり得ません。半年後に「ドル高」になっていれば、受け取りの円か増えますが、「ドル安」になっていると、受け取りの円か減ってしまうことになります。「ドル安になると困る」と判断した輸出企業は、インパクト・ローン(使途自由の外貨ローン)を組みます。インパクト・ローンは、居住者による外貨での借り入れのことです。何に使ってもよく、使い道に制限のない外貨建てのローンです。基本的に、通貨の種類や借り入れ(ローン)の金額、金利について規制がなく、簡単な手続きで申し込むことができます。通貨の種類は、外国為替銀行が調達可能な主要通貨であれば、どんな通貨でも借り入れることができます。ここでは、その輸出企業は、ドル建てのインパクト・ローンを組むことにします。その輸出企業は、インパクト・ローンで借りてきたドルを円に交換します。このことを「円転」と言います。そして、その円転した円資金を、そのまま円預金します。この場合も、半年間の定期預金にしておけば、若干、金利は高くなるでしょう。半年後の決済日(円預金の満期日=ドルを受け取る日)に、輸出先から受け取ったドルをインパクト・ローンの返済に充てます。そして、半年間の定期預金にしておいた円預金は満期日を迎えていますから、この円資金を受け取ります。インパクト・ローンを設定したときのドル/円レートが120・00円、決済日のドル/円レートが115・00円としましょう。すると、5円の為替差益を得ることになります。インパクト・ローンを設定せずに、決済日まで何もしなければ、1ドル=115・00円で、ドルを円転しなければならないことになります。「ドル安」になっていますから、受け取れる円の額は目減りします。インパクト・ローンを設定することは、事実上、「ドルのキャリー・トレード」と同じことです。